図書館は読む空間、探す空間として重要な公共施設である。しかし、誰しもが本のアーカイブをそのように使うわけではない。閲覧・貸出しサービスの廃止が検討されている神奈川県の県立図書館を対象とし、読む空間、探す空間を求めないことで、本のアーカイブを扱う建築の別のあり方を再考する。

 閲覧・貸出しがされなくなった本の塊は、今まで市民が利用してきた図書館の敷地では無の塊同然である。この敷地に集積されてきた塊は敷地周辺の風景によって削る操作を行うことで地形のようになり、敷地の新しい環境になる。塊に市民の小さな活動が寄生するように絡み付く。展示室、診療所、ラーニングセンター、託児所、カフェ、コインランドリー、コテージ、茶華道室、花屋。都市に情報を与えてきた本のアーカイブは関係のない裏の世界になるが、都市に寄生され共生していく建築は1つの建築で閉じない新しい公共スペースになるのではないか。

diploma 2012

落合 俊行
"Gulliverーあまりにも巨大な本のアーカイブのあり方"

日本大学理工学部建築学科2009年度 卒業設計審査会 10選

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